私たちが何気なく利用しているWebサイト。スマートフォンやパソコンで、情報を探したり、買い物をしたり、仕事をしたりと、当たり前のように毎日インターネットを活用しています。しかし、その「当たり前」が難しい方々がいることを、どれくらい意識しているでしょうか。
見落としがちな”Webの使いにくさ”への理解を深めることで、ビジネスの可能性も、私たち一人ひとりの視野も広がっていくはずです。まずは、普段気づきにくい利用者の視点に立って、Webサイトを考えてみましょう。
Webアクセシビリティが届けられるべき人々とは
実は、日本の人口の約7.6%、およそ950万人もの方々が、何らかの障がいをお持ちです。視覚や聴覚に障がいのある方、手指の動きに制限のある方など、多くの方々が異なる事情でWebサイト利用時の困難に直面しています。
また、加齢による身体機能の変化で、Webサイトの利用に不自由を感じる高齢者の方々も増加しています。65歳以上の人口約3,600万人のうち、約4割の方がデジタル機器の操作に何らかの困難を感じているという調査結果もあります。文字が読みにくい、操作に時間がかかる、音が聞き取りづらいなど、年齢を重ねることで誰もが経験する可能性がある課題です。
このように、Webアクセシビリティは特定の利用者だけのものではなく、全ての人にとって必要不可欠な要素なのです。では、アクセス数やコンバージョン率だけでは見えてこない、誰かにとっての「使いにくさ」とは、どのようなものなのでしょうか。
多様なハンディキャップと、Webアクセシビリティがもたらす可能性
Webサイトを利用する際の困難さは、利用者一人一人で異なります。具体的にどのような課題があり、アクセシビリティ対応によってどのような可能性が広がるのか、実例を交えながらご紹介します。
視覚障がいをお持ちの方々の場合
スクリーンリーダーという音声読み上げソフトでWebサイトを閲覧します。
⚠️ 直面している課題
- 画像の代替テキストが設定されておらず、写真やイラストの内容が理解できない
- 文章の構造が適切に設定されていないため、情報の流れが不自然になる
✨ アクセシビリティ対応による効果
- 商品画像に適切な説明文が付与され、商品の特徴を理解して自分で選べるようになる
- 見出しや段落の正しい設定により、必要な情報に素早くたどり着ける
聴覚障がいをお持ちの方々の場合
文字情報や視覚的な情報を中心にWebサイトを利用します。
⚠️ 直面している課題
- 音声付きの解説動画に字幕がなく、サービス内容を理解できない
- サイト内の音声アラートのみの通知では、重要なお知らせに気付けない
✨ アクセシビリティ対応による効果
- 動画に字幕が追加されることで、サービスの特徴や使い方を詳しく理解できる
- ポップアップやアイコン表示により、重要な通知を確実に受け取れる
運動機能に制限のある方々の場合
キーボードやスイッチなど、使いやすいデバイスでWebサイトを操作します。
⚠️ 直面している課題
- ボタンが小さすぎてクリックできない
- マウス操作が前提の機能が多く、キーボードだけでは利用できない
✨ アクセシビリティ対応による効果
- ボタンの選択範囲が広がることで、ストレスなく商品を購入できる
- キーボード操作の実装により、業務システムをスムーズに使えるようになる
このように、Webアクセシビリティへの対応は、多くの方々の生活や仕事における可能性を広げ、すべての利用者にとって使いやすいWebサイトづくりにつながるのです。
アクセシビリティへの配慮が生み出す、新たな価値

Webアクセシビリティへの取り組みは、企業に新たな気づきと可能性をもたらします。普段は意識しにくい利用者の困りごとに向き合うことで、「相手の立場で考える力」が自然と身につき、より幅広い顧客層のニーズを理解する力へとつながっていきます。
例えば、文字を大きくしたり、コントラストを調整したりする配慮は、視覚障がいをお持ちの方だけでなく、高齢者の方々や屋外でスマートフォンを使う方にも役立ちます。怪我や病気で一時的に不自由を感じている方々にとっても、シンプルで使いやすいサイトは大きな価値となります。
このように、アクセシビリティへの理解を深め、実践することは、より多くの人々との出会いを生み、新たなビジネスの可能性を広げていくのです。
実際の利用者の声から見えてくる真のWebアクセシビリティ
では、自社のWebサイトのアクセシビリティは、実際にどの程度の水準なのでしょうか。それを知る最も確実な方法は、実際の利用者からフィードバックを得ることです。
私たちが提供する無料のWebアクセシビリティ診断では、実際に全盲や聴覚障がいをお持ちの方々がサイトを利用し、具体的な課題や改善点をフィードバックさせていただきます。実際の利用者の声を聞くことで、より効果的な改善が可能になるとともに、思いもよらなかった課題が見つかるかもしれません。
利用者の実際の体験から学ぶことこそが、真のアクセシビリティ対応への理解を深めてくれるでしょう。
思いやりのある未来へ
Webアクセシビリティの向上は、企業の社会的責任であると同時に、新たなビジネスの可能性を広げる機会でもあります。そして何より、思いやりのある、誰もが使いやすいWebの未来を作るための第一歩となります。
一つひとつの改善は、小さな変化に見えるかもしれません。しかし、その積み重ねが、多くの人々の生活をより豊かにし、企業にとっても新たな出会いをもたらしてくれるはずです。より良いWebの未来は、私たち一人一人の気づきから始まります。